プロジェクト概要

★NPO法人とファミリーホーム開設のきっかけ
石巻市では、震災以前から児童養護施設が無いために、家庭養育を受けられない子ども達は生まれ育った地域での養育を受けることができず、これまで市外で養育されてきました。そんな中、2011年3月11日の東日本大震災によって、石巻市の多くの子ども達が被災しました。大切な家族を失った子ども達も多く、迅速な社会的支援を必要としていました。しかし、石巻市では震災以前から子ども達と家族を支える基盤となる民間の組織力が不足した状況だった上、更に震災でその基盤すらも大きく傾いた状態となってしまいました。
子ども達は甚大な被害を受けた石巻にとって、将来復興の力になる希望の光です。この大切な希望の光を石巻で養育する為には、地域に児童養護施設やファミリーホームのような場所が必要です。当NPO法人はそんな子ども達への想いを込めて、ファミリーホーム「子どもの家きむら」を開設し、石巻市で子ども達と家族を支援する地元の団体として設立されました。
★にこにこプロジェクト立ち上げの経緯
7月からは職員体制も整備され、今後の事業展開に向けて、ひとつのプロジェクトを立ち上げることになりました。それが、「にこにこプロジェクト」です。

にこにこプロジェクトって何?

NPO法人みやぎ子ども養育支援の会には、設立時から4つの事業計画が設定されています。にこにこプロジェクトは、その4つの事業をひとつの大きなプロジェクトとして捉え、4つをそれぞれにリンクさせながら、当NPO法人が目標とする、地域福祉への貢献を実現するために立ち上げました。つまり、4つの事業はそれぞれに独立した事業というわけではなく、それぞれに関係し合い、協力し合い、ひとつの目標に向かって進んでいきます。

例えば、相談事業や仮設住宅等での子育てサロンの中で、地域が抱えているニーズを把握します。そして、把握したニーズに対して、団体として出来る事を考え、地域で支援活動を実践します。

★今後のプロジェクトの方向性ー障害福祉への展望
 現在、にこにこプロジェクトでは、地域の障がい児支援を開始し、市や関係機関との連携を図りながら、常設の「にこにこサロン」の障がい児と家族版となる「にこにこ児童クラブ(仮名)」を開設する準備を始めています。そのきっかけは、ファミリーホームに被災障がい児の子どもさんをお預かりしたことでした。養育の過程で、私達は石巻市で十分に支援を受けられずに障がい児を養育する家族の存在を知りました。そして、地元に設立された団体ということもあり、度々相談を受けることが増え、これまで浮き彫りにならなかった障害福祉サービスの課題が見えてきました。既存の福祉サービス事業者数も不足している上、被災によって仮設住宅や地域に障がい児が思いっきり走り回れる安心な場所が見つからないという現実。

 この要望に応えるため、にこにこプロジェクトは民間団体としての特質を生かし、既存の社会福祉サービスでは対応できない細やかな支援形態を模索し、「にこにこ児童クラブ」の開設を目指す事にしました。基本的には「放課後等児童クラブ」の形態に類似しながらもー当団体が障がい児の子ども達と家族がともに日中過ごすサロンの場を提供し、集う人々が主役となり、子育ての悩みを家族同士が共有し合い、アイデアを出し合ってサロンを創り上げていくーそんな「居場所」を作りたいと考えています。
 
 ただ、障がい児支援だけでは十分とは言えません。将来的に就労支援も見据えておく必要があります。にこにこプロジェクトでは、将来的に縦割りの障害福祉サービスを横につなげ、子どもから大人までひとつの事業体で支え続けることができるような事業化を目指しています。
 その前身として、現在、にこにこプロジェクトの中に被災障がい者を中心にクラフト部を立ち上げました。現在は皮製品と押し花アートを学び、商品として販売を開始したところです。徐々にクオリティーを高め、社会福祉法上の就労支援事業に発展させていくことがクラフト部の目標です(*製品の売り上げはにこにこプロジェクトの活動資金として、石巻の地域福祉と復興支援事業に活用します。)。